2012年、学習塾で働いていた愛甲は転勤のため、熊本北部の玉名市で新生活を始めました。有明海に面し、大河ドラマ「いだてん」主人公の金栗四三ゆかりの街として有名な市です。1枚目の写真の背景に写っているのが愛甲が暮らしたマンションです。愛甲は体調もだいぶ改善し、新天地で心身ともに充実しているように感じました。今回の訪問で愛甲は、隣の荒尾市にある、三池炭鉱のうちの一つの「万田坑」に連れて行ってくれました。20世紀初頭にかけて日本の産業を支え、隆盛を極めたものの、その後エネルギーの転換により衰退し、閉山となってしまった炭鉱です。僕はその存在もあまり知らなかったのですが、栄枯盛衰、という言葉が頭に浮かぶ、非常に印象深い場所でした。その後、万田坑は2015年に世界遺産に登録されました。愛甲は九州を旅をするのにも、景勝地や温泉、グルメ、というよりは歴史的、社会的な場所を行きたがりました。最初に球磨村を訪問した際も足を延ばして行ったのは水俣病の資料館や、神風特攻隊出撃の地、鹿児島・知覧の知覧特攻平和会館でした。そういう場所を見たい、見せたい、というのはとても愛甲らしいし、僕にとっても、九州の旅が単なる観光ではなく、非常に深いものになりました。






